2012年4月30日月曜日

富戸から入って富戸にでる



 はじめの写真をご覧頂いても分かるように、ホヤには二つの口が開いています。これがそれぞれ入水孔と出水孔です。入水孔から吸い込まれた海水は鰓嚢(さいのう)と呼ばれる袋状の部分に導かれます。そして、ここで養分や酸素を濾し取って袋の外へ出すのでしょう。この鰓嚢の外側が囲鰓腔と呼ばれる空間です。鰓嚢の外側には卵巣や精巣(ホヤは雌雄同体)、消化管などもあり、それらから出たものは出水孔から体外に排出されるのです。

 ところで、こうして見ると、ホヤにも一人前に心臓もあれば脳まであるのですね。岩にくっついたまま一生を終えるホヤは、

 「俺の人生これでいいのだろうか」

と悩むこともあるのでしょうか。


雲の高さを説明する名前は何ですか?

 ところで、アナハゼはこの出水孔から産卵し、囲鰓腔の空間に卵が蓄えられるのだそうです。1回の産出卵数は凡そ300〜600個だそうなので、オビアナハゼなどに比べるとかなり多いですね。そして約2〜4週間後、孵化した仔魚は出水孔から新しい世界に旅立って行くのです。でも、中には入水孔から産卵するアナハゼもおり、その場合には鰓嚢の中に卵が蓄えられる事になります。

 こうしてホヤの中に産卵すれば、ホヤ自身がこの卵を食ってしまうことは無いでしょうし、他の魚に卵を狙われる事もありません。また、入水孔から出水孔に水流があるので、卵には新鮮な海水が常に触れている事になります。アナハゼの親は安心して卵を放ったら� �しにする事が出来るのです。なかなかいい場所を考えたものですね。さて、問題はここからです。

 「では、アナハゼはなぜ出水孔に産卵するのだろうか」


6面の形状は何と呼ばれる

 これが僕の疑問です。そんな事幾ら考えたって、幾ら海の中で見ていたって分かる筈はないのですが気になるんですよね。

 ちなみに、先にご紹介したホヤに産卵する魚であるクダヤガラでは、産み出した卵をメスが一旦口に含んで出水孔を通って卵を運び込むのだそうです。異なる種類を通じて出水孔が選ばれると言う事は、その事に何かメリットがあるに違いありません。


渦運動は何ですか?

 しかし、もし、僕がアナハゼだったら入水孔に産卵します。それはこういう理由です。入水孔から入った海水は、微小なプランクトンや無機塩、有機物、酸素などが豊富な筈です。それが鰓嚢で濾し取られて囲鰓腔に排出される訳です。つまり、囲鰓腔には、おいしい所が吸い取られたしみったれた海水しか無い訳です。そんな所に自分の可愛い卵をどうして産み付けられましょう。卵がハッチアウトまでの間に一体どのようなものを海水から吸収しているのかは分かりませんが、少なくとも酸素は十分に必要でしょう。それだけを考えても、新鮮な海水で満たされたた鰓嚢内を産卵場所に選ぶべきではないでしょうか。つまり入水孔からの産卵です。

 ま、そんな僕� �妄想を発展させる手掛かりが海の中での観察を通じて掴めないかなぁと考えている訳です。


 ああ、また講釈ばかりが長くなってしまいましたね。では、愈々海の中に入りましょう。そこで、僕はまずホヤを探すことから始めました。アナハゼの産卵を見ようとするならば、お腹の大きなアナハゼのメスを探すべきなのかも知れませんが、相手はちっともじっとしていません。それよりは、ホヤが多くある場所を探してそこでアナハゼを待ち受ける方が確実な気がしたのです。

 ところがです。いざ探してみると、ホヤってどこにでも居るという訳ではないのです。「岩の上に生えている」という印象があったから岩場をぐるぐる回るのですが、カイメンはあちこちにあってもホヤは滅多に見つかりません。

 そうしていた時にみつけたのがこれです。



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